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ノルウェーに引っ越してきて、丸一年が経ちました。ついた早々、雪が舞っていたり、Whole Milkは一体どれだと携帯で検索しながら必死に買い物していたはずが、これが日常になりました。気が付いたことをブログにまとめておけば後で懐かしく見返せるかなと思いつつ、毎日、せいいっぱいだったので、久々に思いついたことを書きにきました。誰かの批判をしてるわけでも、善悪を論じたいわけでもなく、ありのままに感じたことを書いています。

一年経って変わったと感じることは、体感気温です。一年前はおお寒いと、ダウンを着ていたはずが、気温が13℃を越えると暖かく、20℃に届こうものならもう夏だと感じるようになりました。ここはとにかく乾燥がひどく、いい意味ではスキーウェアほどのジャケットも一晩で乾く、悪い意味では極度に乾燥して喉や鼻の粘膜がやられます。なので、寝室には、ぬれタオルを四枚と洗面器にお湯をはって寝ています。それでも、朝起きるとタオルはからっからに乾いています。それでも、インフルエンザがはやらないのは人口が少ないからかしら。

この時期、赤いつなぎを着たRUSSと呼ばれる高校生たちが、カッポしています。去年は時代遅れのヤンキー集団がいると思ってたけど、高校三年生が卒業前のひとときにはっちゃける時期なのだそうです。はっちゃけリスト的なもの(人殺し以外はなんでも許される的な、、、と聞いたけどほんとかいな?)があって、それをいくつやったかを競い合ったりするとか。つなぎの子たちは名刺を持っていて、それを小学生たちがカードコレクションみたいに集めて楽しむんだそう。

ノルウェー語は一切勉強してないけど、身近なこと限定でなんとなくわかる気がしてきました。スーパーではレシートいるかと聞かれているなと感じて、Yesと答えたり、、、読めないけどどうもこれはおむつは三つまでしか買ってはいけないようだと分かった気がしたり、、、隣のお宅のお子さんが我が家に遊びにきていたときに、おやつで吊って家に戻らせようとしているのが分かったり(奥さんが後で訳してくれて確認w)、、、なんだか知らない言葉でも、目で見たり、英語と併記してあるときに覚えたり、英語の読み(音)をそのままアルファベット表記した風な単語も多いので、頭のなかで音に変換してみると、状況から予想できたり(Stop hereはstopp her)、、、宅急便のおじさんからの電話でノルウェー語でなんか言ってるけど、「今日」という言葉がわかったので、「今、家にいます」と答えるとそれで届けにきてくれたり、、、家主が予告もなく家のペンキ塗りのおじさんをよこして、ノルウェー語でまくしたてられて、どうも壁の色は何色がいいか私に尋ねているようだとなぜだか分かったり(身振りでわかったのかな)、、、言葉の獲得ってこんな感じなのかなと。と同時に、言葉って実際にききとれているかよりも、状況を共有したうえで、表情やゼスチャーなどでかなりの部分と伝えているんじゃないかなと感じるようになりました(だからラジオとか、相手が話題を振ってくるだけのときには、知っている単語がでてこないと内容を全く推測できない)。

ノルウェー語がなんとなくわかってくると、ヨーロッパの旅先で、ノルウェー語とどれくらい離れた言語なのかが、なんとな~く肌で感じられるようになりました。綴りが似ていて意味が推測できる単語数が、地理的な距離が遠くなればなるほど少なくなる。例えば、「薬局(Apotek)」だとか「ようこそ(Velkommen)」なんかは、近国では似た綴りで使われている。他の国ではどんな気づきがあるか楽しみです。言語系討論をざっと読むと、たしかに遺伝子で残っているものでもないので、なかなか確定できないよねと納得。語族の一覧も興味深かった。

ノルウェー語:Apotek
デンマーク語:Apotek
ドイツ語:Apotheke
オランダ語:Apotheek
スペイン語:Farmacia

前に住んでいた場所よりも、一年中外にでかけて、日本に近い四季が楽しめるところが好きです。春には、ふきのとうやつくしが生えて、ムスカリ、水仙、チューリップに続いて桜が咲いたりするし、夏は雨がちではあるものの、海水浴もできたり、蚊は少ないし快適。秋には落葉して、きのこが生えたり、冬は雪が積もってそり遊びを楽しんだり、近所のフィヨルドにやってくるカモなどの冬鳥を楽しんだり、欄やヒヤシンスも家のなかを華やかにしてくれます。ただ、極夜は自分が感じているよりか精神的にダメージが来ている気がするので、太陽の光を浴びる喜びを初めて理解できるようになりました。娘も絵本や歌に出てくる季節のものをじっとみたり、摘んだりと、素敵な体験をたくさんできてありがたいです。景色も本当にきれいで、田舎の香水のにおい(たい肥の香り)もしてきて、家のすぐ近くに野鳥のほかハリネズミ、シカ、野ウサギ、キジなんかもいます。近所では羊やヤギが放牧されていて、麦畑があったり、馬がカッポカッポ散歩していたりもします。

日本人コミュニティがないので、そこはとても寂しいところです。ノルウェー語なので、テレビは契約していないし、ラジオを聴いてもよくわからない、数少ない日本人はすでに数組引っ越していなくなってしまったし、、、でも、幼稚園で毎日、先生から今日の娘の様子をきいたり、そこで会う親御さんたちと一言二言話しているので、もともとそんなにしゃべる方ではないため、そんなもんかとも思っています。ネットもあるしね。

福祉国家は病院もタダだし、学費もタダだし、いいな~と思っていたけど、実際に生活してみて、医療費タダだからって、お金払って受けられるようなクオリティ高いサービスが与えられるわけじゃないんだと実感してきました。所得税を半分とられて、消費税を25%とられて、毎日、道路の通行税をとられて生活して享受できるサービスの質としてはどうなのか疑問(ノルウェー人になってみないことには理解できないところかも)。そんなこんなで自由っていったい何?と思うようになって、社会主義と福祉国家の違い、日本との違いなんかをググってしまったり。まったくの自由だときっと人は耐えられないだろうから(そんな国ないと思うけど)、何等かの制限ある自由を精一杯工夫して生きるのが楽しいのかなとも思う。お金を制限されることで自由を奪われているノルウェー人、でも、個人で使える時間はたっぷりあって、、、何を優先して生きたいかによって国のあり方がちがうんですかね。まあ、前にも書いたけど、それで仕事が進まないしわ寄せは外国人労働者の一人である夫にも。。。快適さの影には必ず誰かの苦労がある気がする。

車の運転にも慣れました。アメリカと同じ右側運転なので、ロータリー(ランドアバウト)のルールになれたら大丈夫でした。でも、ロータリーでない交差点での優先順位を理解するまでに時間がかかった。明らかにこちらが優先だろうという道路を走っているのに、自分からすると右側からいつも車が飛び出してくる、またはクラクションを鳴らされる。しばらくハテナだったんだけど、道の太さに関係なく、サメの歯のような停止線がない限り、右側から来る車が優先なのだそう。ロータリーは左から来る車だけに注意していればよいので、逆でややこしい。罰金が高いので、みんな法定速度を厳守しているので安全。すごいのは、時速40kmとかかなりの低速な場所でも、ちゃんとそのくらいで走っていること。警察もプラス5kmでも出していれば捕まえてくるそうな。こわ!あとは、速度が出せないように物理的に道路にこぶ(Bump)をたくさんつくってあるし、バスの停留所を利用して、そこだけ片側通行しかできないように道幅を狭くしたりもしてる(後者は学校が近い場所なんかであって、バスの乗り降りをしている子供が道路を渡って、車にひかれるのを予防する目的なのかも)。

ディーゼル車が多いのも興味深かった。当時、妊婦だったし、よけいな事故をおこしたくなかったので、アメリカ時代と同じ中古車を買ったんだけど、ガソリンじゃなくディーゼル車だった。日本ほど道路幅は狭くないけど、くねくねした道路が多いので、燃費を考えての選択だそう。

北欧デザインが人気があるように、お店に並んでいるものは、アメリカよりも色使いも、使い勝手も、出来もいいのでそこは嬉しい。でも、なんでも物価が高い。物価は日本の二倍から三倍です。

食に関しては、ワッフル以外はほぼ壊滅的な残念さです。先にかいたように消費税は25パーセント、そのうえ、輸入品が多いので、鮮度が悪い野菜ばかりで、種類も少なく(特に葉野菜が)、正直げんなりしています。お肉は消費期限が一か月とかあるようで、何もしらないで買った鶏肉は悪臭、並んでいる肉ももうこれ茶色く腐っているよねというのも少なくないです(どこの国でも食品廃棄問題があるのは承知してます)。命をなんだと思っているんだろうと憤慨することが多いです。なので、前のように週1だけ買い出しはやめて、週に二・三回いくようにしました。そうすると、一度くらいはお肉を並べているところに遭遇して、少しは鮮度のよいものが手に入ります。魚は季節のものしか置かないので、冬にはサバが消えて、鮭とタラくらいかな。ひとつ目を見張る素晴らしいところは、割引セール(Tilbud)の思い切りがいいこと。いきなり、おむつ半額です。とか、今週は家具半額です。とかそんな感じ。我が家の家具も半額で買えました。ブラックフライデーのような割と型落ち品じゃなく、普通に売ってるものがです。

それならアジアンスーパーにと思うでしょう。これでもかなり状況はよくなったそうなので、贅沢な話なのは重々承知しているのですが、、、基本的な調味料が品切れしていることが多いのが痛手。特に、みりん。賞味期限が過ぎたものが半額で売っているんだけど、それでも日本で買うよりずっと割高。しょうゆも同様。味噌は二種類、納豆はない、豆腐は売り切れが多い。でも、米は手に入るし、たまにオクラや里芋を食べられたりするので有難い存在です。そんなわけで、我が家では煮物料理がだいぶ減りました。角煮とか作るには勇気がいります(夫は好きなの作りなよといつも言ってくれるけど、わたしがね)。日本酒は酒専門店でしか買えないので、そこで売ってる日本酒を料理酒としてつかいます。

ノルウェー料理も、いくつか食べてみたけど、正直そこまでではなく、知り合った日本人がおいしいよと進めてくれる料理も、レストランも、美味しいケーキやさんも一軒もない(泣)そこまでおいしいものがない国ってはじめてです(笑)。もともと貧しい国だったという背景もあるそうと聞いたので、そういう風土なのでしょうか。もしかしたら、家庭料理はすごくおいしいのかも!? とにかく、人気でいつも混んでいるマックも二千円払って、残したくなるバーガーが出てきます。ピザ屋も、スーパーの冷凍ピザのがまだおいしいんじゃないかというのが三千円くらいはらうと食べられます。子供は正直なので残します。。。そんなわけで、今日は疲れたから外食にしましょうといえる日は来ないのです(笑)。一人、四千円近くはらえばまともなバーガーを出す店はある(気軽にはいけないし、バーガーばっかり食べたくないアラフォーです^^)。ときどき寿司が恋しくなって、奮発します(ので、お金の問題じゃなく、質が悪すぎて外で食べたくない問題なのです。食べるとへこむくらいまずいんだもの)。

ワッフルメーカーを頂いたので、楽しんでいます。ワッフルはちぎるとハート型になる薄いもの(ベーキングパウダー入りの生地のようです)で、これはノルウェー人は我が家流の食べ方を熱く語ってくれるほど愛されているそうです。我が家も、売ってるワッフル粉を我が家流にアレンジして楽しんでいます。今、家族に人気な配合:粉(200g)にタピオカ粉(大匙1程度、モチカリになる)かコーンスターチ(大匙1、カリカリになる)などを入れて、豆乳(粉と同量)、菜種油(粉の1/10量)を入れて、かなり緩くなるまで水で溶く(感覚で入れてる。どろりというよりもとろとろ)。そして、ワッフルメーカーに、バターを塗って、カリカリになるまで焼きます。

町の規模が小さいので、とても住みやすいです。基本的に治安もよく(移民が増えて、知り合いのお宅は強盗にはいられたけど)、安全に歩き回れるのが嬉しいです。どこに行くにも10分から20分ほどで行ける。博物館なども充実しているし、トレイルもたくさん、山も海も湖も近い。子供が歩いていける距離に、小さい公園(プレイグラウンド)が少なくとも六つはあるし、小さな子供がいる家族が住むにはよいところというのは納得です。だから不自由はあるけど、三年間まるっといられたらうれしいです。どうなるかな。

最近は、隣の家の子(二人とも我が家の子と同じ年、同じ月齢)とトランポリンをしたり、追いかけまわって毎日楽しく遊んでいて、ありがたいばかりです。言葉の通じない三歳児同士(娘は片言の英語、お友だちはノルウェー語)は同じことをすることで仲良くなっていくのですね。相手がキックボードをだしてくると、もう片方も同じか同じようなアイテムをもってきて、二人ででかけていきます。可愛い☆

誰よりも苦労してきたのは夫だと思います。一年間、お疲れ様でした。