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映画「Frozen」が好きな姉妹に、それに関する体験をさせてあげるためにトロムソに行ってきました。北極の玄関口と言われる北緯約70度の都市です。わたしたちが行ったとき、極夜はすでに終わっていました。とはいえ、午前10時台で朝焼けのような景色に、緯度の高さを感じました。そして、昼過ぎには夕暮れがはじまっていました。


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まずは水族館へ。ノルウェーでは、ネイチャーセンターや水族館などで、パノラマ映像を見せてくれるところが多い気がします。よく観るのは、ヘリコプターでその地域の自然を記録したものです。家で映像をみるときに、いつも会話しているので、娘たちは花や生物、景色に感動したり、感じたことを、すぐ口に出してしまいまして、、、他のお客さんにチラチラお叱りの目線をもらいました(汗)。その後、雪の結晶のパズルをやりました(写真)。夏場の氷の面積がこの50年間で約半分になっているのだそうです。水族館自体はとても小さくて、地味だけど、その地域に住む生き物だけを展示するって案外大事かなと思います。子どもたちがとても楽しんでいました。


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それから大学付属の北極圏博物館へ。19世紀の北極圏探検(探検家探検家2など)と、アザラシ・ホッキョクグマ・ホッキョクキツネなど、北極圏の哺乳類を捕獲していた様子が、展示されていました。現在のように、毛皮の代替品がある時代の色眼鏡をかけてしまうと、そこに住んでいない者が野生動物を衣服にするなどの金儲け目的で殺すことを咎める気持ちも沸き起こってしまうものの、当時は、、、。アザラシの子をハンマーで打つフィギュア展示があったりしたからか、娘は「こんなに動物を殺して悪い人たちだ」という気持ちと、毛皮に加工したものをみれば「あ、可愛い、使ってみたい」という気持ちとが、相まっていたようでした。



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「オーロラをさがして」という絵本が売っていました。日本語版は、登場人物の一人と食べ物が、日本人とおせんべいに変わっているようです。中表紙に、見開きで近隣の地図が載っていて、船での移動ルートが書き込まれています。中身に沿って、地図を確認して、サーミの文化にも触れることができます。以下は、この絵本に出てくる内容を、偶然にもいくつか追体験できたので、そこがよかったです。


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サーミキャンプを見学に行きました。そこでは、トナカイ橇に乗ったり、餌やり体験をしました。トナカイの雄が2人乗り橇をひいてくれます。大人がゆっくり歩くのと同じスピードです。Frozenのスヴェンはどんだけ早くて力持ちのトナカイなんだろ。橇に敷いてあったトナカイの毛皮は、毛が密で、とても暖かかったです。他の北極圏の哺乳類と同じように、毛の中が空洞になっていて、その中の空気で保温効果が高いそうでした。



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角は毎年抜け落ちて、袋角が生えてくるとのこと。年老いてくると、上から生える角と下から生える角の先同士が接するようになるそうです。だから、写真のトナカイはまだ若いのかもしれません。冬のミネラル補給に、トナカイたちが角も食べて過ごすのだそうです。そして、バケツに入った餌(他の場所では、ハナゴケという地衣類のところもあったけど、ここはペレットだった)を差し出すと、おちょぼ口にしずしずと食べます。このあと、トナカイのシチューを頂きました。トナカイの肉は脂肪が2-3%くらいしか含まれていないそう。6時間ほど煮込んだものだそうで、ほろりと柔らかくて、思ったよりも癖なくおいしかったです。新しいものを嫌がる娘らも、いい匂い~とよく食べました。繁殖期(秋)に、オスのトナカイたちは飲まず食わずで、生殖するためにオス同士で闘い続けているそうですが、そんなに脂肪分が少なくて、命がけで子孫を作っているのですね。わたしたちが餌をあげたメスのトナカイの多くが妊婦さんだそうでした。



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コタと呼ばれるテントに入り、火を囲みながら、サーミ人の女性(トロムソよりも北の山も森もない平原出身だそう)が、サーミの文化について説明してくれました。おおよそ、こちらの記事で書いてるようなことと同じことを説明して、実際に物を見せて触らせてくれました。写真は、コルトと呼ばれる民族衣装の男性用。背中に四角形の模様があって、これを見ると、どのファミリーの人かわかるそうです。このほか、ベルトの色で婚姻の有無を知らせたり、女性のスカートの裾の色などが出身地によって異なっていたりするのだそうです。ナイフ、毛皮のコーヒー豆入れ、ククサと言われるしらかばで作った木のカップなど必要なものは皆、腰にぶらさげて生活しているのだそう。といっても、いまやほとんどのサーミ人は、他の北欧の人と同じように普通の家を持ち、普通の服を着て生活しているとのことです。


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一番良かったのが、サーミの歌ヨイクを聞かせてもらえたことです。次女が、Frozenで流れるVuelieが大好きで、この曲にもヨイクの要素を入れているそうで。歌ってもらった二曲をネットで探せないのが残念。ですが、二人ともすぐにメロディをまるっと覚えて、何度も歌っていました。







最後に、アイスドームという氷でできたホテルの見学に行きました。エルサの氷のお城にあこがれている姉妹も、満喫してくれたようです。ホテルのメイキング映像のなかで、川から氷を切り出すのをみて、「クリストフ(の仕事)と同じだ!」と喜んだり、サーミの文化に関連する氷の彫刻を見てまわりました。この彫刻は、サンドアートの彫刻家を世界中から招致して作ってもらうのだそうで、テーマは北欧やサーミの文化だけど、作品自体は毎年変わるそうです。エルサは薄着で「寒くないわ」と言っていたけど、娘らは寒かったそうです(笑)。ドームの天井は厚さ1m、下の壁は厚さ3mでできていて、天井の空気穴を使って、人の体温や蒸気を出していて、室内は常にマイナス5℃になるようにしているそうです。


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旧正月の休みで、マスクをしたアジア人観光客もけっこういて、新型コロナウイルスがよぎってちょっとドキッとしました。そんなわたしたちも(アジア人なので)、ヨーロッパの(あくまで)一部の人たちに、ばい菌みたいな目で見られたり、必要以上に避けられたりしました。Frozenにこじつけた!?体験を娘たちが五感をフルに使って楽しんでくれたことが、大人も嬉しかったです。あ、そういえばオーロラとは縁がなかったなあ。。。また、いつか!